第169章:これが理由だったのか?
普通だったらさ、誰だって【ベンジャミン・ウォーカー】とコラボしたいもんでしょ。だって、あいつと組むってことは、win-winだし、安定も約束されるんだから。損する可能性なんてゼロ。あいつ、そういうの絶対許さないし。でも、【アレハンドロ・ロドリゲス】は断るって決めたんだよな、普通じゃ考えられないけど、自分のやり方で生きてるやつ。
「まあ、いいや。オレが【マルティナ・マルティネス】とコラボの話したかったのは、ただ、面倒な妹を連れて一緒に仕事したかっただけだし。ま、今回はそう言うなら、また今度にするよ」
【アレハンドロ・ロドリゲス】は自信たっぷりにそう言って、文句のつけようがない。マジでそう思ってんだろうな。
だけど、その時、【エレナ】はなんか変だって感じたんだよね。まるで、戦場にいるみたいだった。だって、あの二人ってさ、一人は自分の兄で、もう一人は親友の彼氏なんだぜ? 何かあったのか?
もちろん、【エレナ】は心の中で考えるだけで、口には出せない。余計ややこしくなるだけだし。もし、疑いを口にしたとしても、何が変わるわけでもないし。
無意識に【アレハンドロ・ロドリゲス】の袖を引っ張って、二人が視線を合わせないようにしたかった。【アレハンドロ・ロドリゲス】と【ベンジャミン・ウォーカー】、マジで勝負したいのか? そこまでする必要ある?
「【アレハンドロ・ロドリゲス】、もう帰ろっか。ちょっと気分悪くなっちゃって、吐きそうなんだ」
【エレナ】は、二人の対立を避けるために、そう言ってごまかした。
【エレナ】が本当に具合悪そうだって分かったのか、【アレハンドロ・ロドリゲス】はそれ以上は言わなかった。ただ、ニヤリと笑って【マルティナ・マルティネス】を見て、「また今度、話そう」って言った。
【マルティナ・マルティネス】は、「いいわよ、いつでもコラボの話、聞かせて」って答えた。
理由はともかく、【アレハンドロ・ロドリゲス】がコラボの話を持ち出したんだから、ビジネスチャンスじゃん。断る理由なんてないし、とりあえず様子を見るのが一番だと思った。何もしないで停滞してるより、ずっといい。少なくとも、彼女はそう思ってたし、全然迷いもなかった。他の人がどう思おうが、彼女には関係ないし。
挨拶を済ませた後、【マルティナ・マルティネス】は【ベンジャミン・ウォーカー】を車に戻した。もしあの二人が会ったら、何か嫌なことになりそうで怖かったんだ。
でも、車に乗るや否や、【ベンジャミン・ウォーカー】の様子が急に冷たくなったんだ。どうあがいても消せそうにない、すごいオーラを放ち始めた。
【マルティナ・マルティネス】は【ベンジャミン・ウォーカー】をチラチラ見て、「どうしたの? 怒ってる? 【アレハンドロ・ロドリゲス】とコラボの話をしてただけじゃん。怒る理由ないよね?」って聞いた。
【マルティナ・マルティネス】的には、マジで怒る理由なんてないんだよ。ただ、やるべきことをやってるだけだよね?
でも、【ベンジャミン・ウォーカー】の考えは違った。彼は、【アレハンドロ・ロドリゲス】に何か裏があるって感じてたんだ。コラボって口実で近づこうとしてるのが、怪しい。彼は、自分が興味を持ってる女が、すごい魅力を持ってることはとっくに知ってたけど、まさかこんなレベルだとは思わなかったんだ。
でも、【ベンジャミン・ウォーカー】は文句を飲み込んだ。こんなことで嫉妬して、全部変えたいなんて、そんな衝動に駆られてもしょうがないだろ?
結局、彼は「怒ってないよ」ってつぶやくことしかできなかった。
そう言ったけど、【マルティナ・マルティネス】が信じるはずもなく、また疑わしげな目で彼を見た。
少し考えてから、「もし本当に怒ってないなら、ちょっと昼寝するわ。家に着いたら、また話そ」って言った。
そう言って、【マルティナ・マルティネス】は本当に寝たいみたいな感じで目を閉じたんだ。まるで【ベンジャミン・ウォーカー】がどう思ってるかなんて気にしてないみたいで、彼をイライラさせた。
まるでカベに向かって話してるみたいだ。頑固な人に話しても、全然効果ないんだよ。
隣に座ってる【マルティナ・マルティネス】を見て、【ベンジャミン・ウォーカー】の考えはどんどん複雑になっていった。いくら頑張っても、解きほぐせないような、めちゃくちゃな状況みたいだった。
…
家に帰って、【ベンジャミン・ウォーカー】は【マルティナ・マルティネス】を止めずに部屋で休ませた。自分は振り返ることなく、書斎に向かった。
幸い、【レスリー・ワンダー】はケンカ慣れしてるから、大したことにはなってなかった。顔にアザがいくつかできただけだけど、それほどひどくはない。人にぶつかったり、押されたりしただけだし、2、3日すれば治るだろう。
「書斎に来い」
【ベンジャミン・ウォーカー】はそう命じた。
その言葉を聞いた【レスリー・ワンダー】は、すぐにビビった。ボスが何か言いたいことがあるに違いない、そうじゃなきゃ、こんなこと言わないだろうって。それでも、彼は慌てて【ベンジャミン・ウォーカー】の後を追って書斎に入り、いい子みたいに立って【ベンジャミン・ウォーカー】の話を聞くのを待っていた。
【ベンジャミン・ウォーカー】の冷たい視線が【レスリー・ワンダー】に注がれた。別に【レスリー・ワンダー】にマジギレしてるわけじゃなくて、ただ、すごく不機嫌だっただけ。
たぶん、【ベンジャミン・ウォーカー】の目が怖すぎるせいか、【レスリー・ワンダー】は我慢できなくなって先に口を開いた。「ボス、何か聞きたいことでもありますか?」
【ベンジャミン・ウォーカー】は机の後ろに座り、大きな手をテーブルに叩きつけ、かすかな音を立てた。それを見た【サイモン・リー】は、部屋に入ってきてからゾクゾクした。
すごく冷たい声で、まるで感情がこもってないみたいに、【ベンジャミン・ウォーカー】は「さっきのこと、全部話せ」って言った。
【レスリー・ワンダー】は固まった。まさか【ベンジャミン・ウォーカー】にこんなこと聞かれるなんて思ってなかったから。さっきのことって、何の話? ボスは自分の目で見てたじゃん?
【ベンジャミン・ウォーカー】の身分があるから、【レスリー・ワンダー】は隠すわけにはいかず、前の出来事を細かく説明しなきゃいけなかった。絶対に何か省いたりしないように、ボスを怒らせないように気をつけた。
【レスリー・ワンダー】は、【エレナ】との間にあったことを説明し、ちょっとデリケートな部分についても言及した。話すたびに顔が赤くなって、明らかに恥ずかしそうだった。
【サイモン・リー】は、【レスリー・ワンダー】がなぜあんな反応をしたのか、彼が来る前に何があったのかやっと分かったんだ。
酔っぱらった【ロドリゲス】さんが、あんなにヤバイことになってたなんて信じられなかった。もし自分の目で見てなかったら、絶対信じなかっただろう。あの大胆な女は、マジでハンパない。それに、【マルティナ・マルティネス】だって、あの場面を目撃したら、きっとショックだったはずだ。
でも、【ベンジャミン・ウォーカー】が知りたかったのは、そんなことじゃない。彼は、イライラしながら「事件に関わったやつらのこと、教えてくれ」ってせっついたんだ。