第152章:男も外出時は注意すべき
セキュリティが足りなかったのかな、とマルティナはササッとシャワーを浴びて、髪を濡らしたままお風呂から出てきた。
ベンジャミンがパソコンを触る指をちょっと止めて、マルティナが髪を拭いているのを見た。
マルティナは落ち着こうとしながら、ベンジャミンの後ろに立って、「何してるの?」って聞いた。
ベンジャミンのパソコンの画面には、会社のプロモーション用の資料のデザイン案とか、必要事項が書いてある書類が開いてあった。
マルティナはそういうの、今まで聞いたこともなかったから、別に気にしてもなかったんだけど。
でも、いきなりそれを見て、ちょっとだけ興味が湧いちゃった。「デザイン案とか、誰かに頼むの?」もしそうなら、マルティナの得意分野じゃん。
ベンジャミンも何か考えたみたい。マルティナは、今まで彼の肖像画をいっぱい描いてくれた。あの肖像画は、全部なくなっちゃったけど、あの時の思い出は二人の心の中に残っていて、忘れられない。
時間が経つのは本当に早いし、人もすごく変わるんだなぁ。
ベンジャミンは、マルティナがもう肖像画を描くのが好きじゃないんだ、特に自分のやつとか、絶対ありえないって思ってた。
だから、深く考えずに、「うん、会社で必要でさ。もうすぐ終わるよ。近くで待ってて、髪の毛乾かしてあげる」って言った。
二人のやりとりって、たまにすごく自然で、少なくとも全然ギクシャクしてないんだよね。
もし、前に嫌なことがなかったら、二人の関係はこれで全然良かったと思う。マルティナがベンジャミンの前でペチャクチャ喋ってたり、そういうのにも、もう慣れちゃってたし。
ただ、マルティナが後でそういうのが嫌になっちゃって、それがきっかけで、あんな風になっちゃったんだよね。
マルティナは自分で髪の毛を乾かそうと思ってた。まさか、人にやってもらうなんてできないし!だって、自分でできるんだから。こんなちょっとしたことすらできないんじゃ、笑われちゃうでしょ?
でも、ビックリしたことに、ベンジャミンが自分から近づいてきて、何も言わずにドライヤーを取った。
ちょっと叱るような口調だったけど、同時に甘やかすような感じもあって、「俺が髪乾かしてあげるって言ったよね?なんで聞いてくれないの?」
マルティナは仕方なく顔を上げて、彼を見て言った。「別にいいよ。別に子供じゃないし。まだ怪我してるんでしょ。横で休んでて。私、自分でできるから」
でも、ベンジャミンは一度決めたら、簡単には変えないんだよね。マルティナはそれをよく知ってた。
結局、ベンジャミンはマルティナの髪を乾かしてあげることになって、それでまた、物理的な距離が縮まった。
髪が乾く頃には、マルティナの顔は真っ赤になってて、体中が熱くなってきた。
なんでベンジャミンが髪を乾かしてくれるたびに、こんなに触れ合っちゃうんだろう?わざと?
でも、ベンジャミンの純粋そうな顔を見てると、自分の考えが汚いのかなって思っちゃう。普通のことだよね?それとも、ベンジャミンはわざとらしく振る舞ってるのかな。
でも、言葉だけじゃ説明できないことってあるよね。
マルティナは、全部ベンジャミンがわざとじゃないってことにした。そうじゃないと、もう全然言葉が出なくなるし、気まずくなるから。
色々あって、やっと夜中に二人で寝た。
マルティナは全部打ち明けて、ベンジャミンと一緒にいたいって気持ちをハッキリとは言わなかったけど、それでも、こんな風に一緒にやっていけるみたいだった。多分、前に色々あったから、今の状況になったんだろうね。
...
夜は、二人とも何も話さずに過ぎた。
朝早く、マルティナは起きた。多分、昨夜はぐっすり眠れたから。目を開けてみたら、ベンジャミンに抱きしめられてて、すごく密着してる。マルティナの足がベンジャミンの腰に、まるでタコみたいに絡みついてた。
皮肉なことに、昨夜は距離を置こうとしてたのに、自分からベンジャミンに近づいてる。
マルティナは落ち着こうとしたけど、気まずさはどんどん増していく。幸いなことに、ベンジャミンはまだ起きてなかった。
彼にからかわれるのは嫌だから、マルティナは彼の大きな手を腰からそっとどけて、それから、ゆっくりと足を戻した。
マルティナは知らなかったけど、全部ベンジャミンの手のひらの上で転がされてたんだって。マルティナのちょっとした動きも、彼の鋭い観察からは逃れられない。
マルティナはベッドから出ようと慎重に準備してたら、背後から低い笑い声が聞こえた。
あー、またからかわれてるって気づいた。今の自分は、全部めちゃくちゃだ。自分から近づいたのも、表情も、全部変な女の子みたい。
まるで、変な女の子が次の日の朝に起きて、自分が18歳の大学生と何か秘密の関係にあるってことに気づいたような感じ。
急いでここから出たいって気持ちで、マルティナは何とかしようとしたけど、ベンジャミンは全部見てたみたい。「あー、そんなに急いで出て行きたいんだ?」ベンジャミンは言った。
確かに、前みたいに偉そうでムカつく感じじゃなくて、マルティナと長い時間一緒にいたから、普通の男の人みたいになって、すごく温かい雰囲気だし、話し方も前と全然違う。
マルティナはゆっくりと首を回した。まるで首がギシギシ言いそうだったけど、何とか冷静さを保った。
「なんで起きてたって言わなかったの?わざと私を困らせようとしたんでしょ?」マルティナは言った。
ベンジャミンは、無邪気そうな顔をして座った。昨夜着てたバスローブが、ゆるく彼の体にまとわりついてる。
マルティナから見たら、彼の割れた胸板とか、セクシーな鎖骨とか、喉仏とか、全部完璧に見えて、まるで魅力的な悪女みたい。彼が喋るたびに、喉仏が上下して、マルティナは思わず見とれてしまった。
マルティナは、彼がわざとやってるんじゃないかって思った。こんな魅力的な姿を朝早くから、何気なく見せつけるなんて。誰かに襲われたらどうするの?
男の人も、外では気をつけなきゃいけないのに、この人は全然気にしないみたい?!
ベンジャミンの唇が動いてるけど、マルティナには何て言ってるのか全然わからなかった。