第63章:不愉快な別れ
結局、二人の会話は気まずい感じで終わっちゃった。
【ベンジャミン・ウォーカー】はもう【マルティナ・マルティネス】を逃がす気なんてさらさらないんだ。
夜、【マルティナ・マルティネス】はスマホ持ってないから、今何時なのかも、外の世界と連絡とることもできないんだよね。
また寝ようかなーって思ってたところに、【ベンジャミン・ウォーカー】が部屋に入ってきた。何も言わずに、スッと近づいてきて、抱きしめられた。
【マルティナ・マルティネス】は思わず抵抗して、「何するの? 男と女はそんなに親密にしちゃダメでしょ?」って言った。
【ベンジャミン・ウォーカー】がいない間に何してたのか知らないけど、なんか急に元気になって、冗談とか言う気になっちゃってるっぽい。
「前、同じベッドで寝てた時は、親密にしちゃダメなんて言ってなかったじゃん」って、【ベンジャミン・ウォーカー】がニヤニヤしながらからかってきた。
【マルティナ・マルティネス】は黙っちゃった。どうすればいいんだろ?
うん、確かにそう。先に始めたのは自分だけど、それはもう過去のことじゃん。なんで今になって蒸し返すんだよ?
【マルティナ・マルティネス】は冷たい顔を保とうとして、「離してよ、自分で歩けるから」って強がってみた。
でも、まだ【マルティナ・マルティネス】の体は弱ってるし、頑張って強がってみても、【ベンジャミン・ウォーカー】の行動にはあんまり影響ないみたい。
むしろ、【ベンジャミン・ウォーカー】は久しぶりに感じる安心感みたいなものを感じて、目つきまで優しくなってる。
この安心感は、【マルティナ・マルティネス】が昔みたいに喧嘩腰で、いつもきついこと言ってたけど、本当はただの強がりだった頃からきてるんだよね。
【ベンジャミン・ウォーカー】は【マルティナ・マルティネス】のおでこに優しくキスして、「いい子にして、帰ろう」って言った。
【マルティナ・マルティネス】の体が固まった。前に頼って、妄想してた状況が、今まさに目の前にあるのに、全然嬉しくない。
むしろ、ものすごい圧迫感と、逃げ出したい気持ちでいっぱい。今一番したいことって、逃げることだって確信してる。
でも、なんで【ベンジャミン・ウォーカー】は平気な顔してられるんだろ? もしかして、今まで自分がやってきたことは全部演技だった?
それとも、この短い一ヶ月で、【ベンジャミン・ウォーカー】の図々しさが劇的に変化したってこと?
いくら【マルティナ・マルティネス】が抵抗しても、【ベンジャミン・ウォーカー】の力は磁石みたいで、全然振りほどけない。
こうなったら、もう抵抗するのもやめるしかない。 【ベンジャミン・ウォーカー】にぎゅーって抱きしめられたまま、硬直状態。
夜の空気は冷たいし、【マルティナ・マルティネス】はまだ病院のガウンだし、薄くて寒くて震えが止まらない。
【ベンジャミン・ウォーカー】はそれに気づいたみたい。
病院を出るなり、すぐに【サイモン・リー】に用意してたコートをかけてもらった。
どうせ連れ帰られるんだから、余計なことするのやめよ。素直に、この瞬間を楽しんだ方がいいかも。
だって、まだ体もちょっと弱ってるし、自分の体で余計な緊張感を生み出す必要もないし。
【マルティナ・マルティネス】を遠くまで歩かせるんじゃなくて、【ベンジャミン・ウォーカー】はすぐに車に乗り込んで、まるで傷つけないようにそっと乗せた。
また、 【ベンジャミン・ウォーカー】は運転手付きの高級車に乗ってる。車内は広々としてるから、【マルティナ・マルティネス】はそのまま横になれる。
運転席には相変わらず【サイモン・リー】、助手席には【レスリー・ワンダー】。二人はプライベートで仲良く話してるみたいで、なんかいい感じ。
でも、【ベンジャミン・ウォーカー】と【マルティナ・マルティネス】の間は、なんかすごく冷たい空気で、親しくもない知り合い同士が一緒にいるみたいな、気まずい感じ。
車に乗り込んでから、【ベンジャミン・ウォーカー】は魔法でも使うみたいに、色んなお菓子とか飲み物、さらには温かい食事まで【マルティナ・マルティネス】の前に用意した。全部温かいってことは、事前に準備してたんだよね。
そういえば、【マルティナ・マルティネス】はちょっとお腹すいてたんだよね。食べるつもりだったのに、【サイモン・リー】の言葉に何か引っかかって、食欲なくなっちゃって、その後のご飯も冷めて片付けられちゃった。
で、こんなに時間が経って、精神的にも肉体的にも色々あって疲れ果てて、お腹がグーグー鳴ってたから、目の前にご飯が出てきたら遠慮なく食べ始めた。
【マルティナ・マルティネス】がやっと警戒解いて食べ始めたのを見て、【ベンジャミン・ウォーカー】はちょっと安心したみたい。
前の席の二人に「もっとゆっくり運転して」って指示して、前の席と後ろの席の間にある仕切りを下げた。
【マルティナ・マルティネス】はお腹いっぱいになるまで食べて、それから柔らかいソファーで目を閉じた。もう、どうでもいいやって感じ。どうせ帰るって分かってるから、過程なんてどうでもいい。
【マルティナ・マルティネス】はそのまま寝続けて、目的地に着いても起きてなかった。
【ベンジャミン・ウォーカー】は優しそうに首を振ったけど、なんか安心してるみたい。「少なくとも、もう逃げようとはしないだろうし。誰にも触れさせないように、ここで静かに待ってるだろうから」って。
【ベンジャミン・ウォーカー】の動きはすごく優しくて、まるで一番大切な宝物でも扱うように、慎重に、愛おしそうに【マルティナ・マルティネス】を抱きかかえて、後ろを振り返らずに、前を歩いて行った。
今の【ベンジャミン・ウォーカー】の【マルティナ・マルティネス】の抱き方は、世界で一番貴重なものを抱いてるみたいで、すごく気をつけてて、大切にしてる感じ。
この頃には、もう空は薄暗くなってた。
【エリザベス・ウォーカー】は周りの音で目が覚めた。それと同時に、 【執事】から「【ベンジャミン・ウォーカー】様が、あの女と帰ってきました」って報告を受けた。
【エリザベス・ウォーカー】は今までちょっと遠慮がちに思ってたけど、今度は完全にショックを受けたみたい。
「つまり、この間のこと、私の息子は本当にずっと【マルティナ・マルティネス】を探してたってこと?」って驚いた口調で言った。「そして、 【マルティナ・マルティネス】のために、あんなに大事な仕事をほっぽり出して、探し出して連れ帰ることにしたってこと?」
【執事】は認めたくなかったけど、 「今のところ、そういうことみたいです。 【ベンジャミン・ウォーカー】様は、前とは少し変わられたようです」って言うしかなかった。
変わったってレベルじゃない。気が狂ったみたい。実際に見てなかったら、 【ベンジャミン・ウォーカー】がそんなことするなんて誰が信じる?
【ベンジャミン・ウォーカー】って、全部緻密に戦略立てて計画する人なのに、今回は【マルティナ・マルティネス】のために完全にボロボロになっる。
あんなに大事な仕事を辞めるとか。全部、 【マルティナ・マルティネス】のためだけに!!
【エリザベス・ウォーカー】の手の中のカップは、瞬間に地面に落ちて、自分自身も呆然としてるみたいだった。「前に【マルティナ・マルティネス】はダメだって言ったのに、本当になっちゃった!」