第85章:食べましたか?
最初はめちゃくちゃ騒いでたけど、今は静かにコツコツって感じ。たぶん、マルティナはもうすっかりベンジャミンにガッカリしちゃったから、無駄話とかしたくないんだろうね。
マルティナは仕事に没頭して、パソコンに夢中で、邪魔されることなく絵を描いたり色塗ったりしてた。忙しくて充実してて、どれくらい時間が経ったのかも分かんなくなってた。前よりずっと満たされてる感じ。
昔はただベンジャミンを中心にグルグル回ってただけだったのに、今は自分の人生がある。本当に自由になるのは難しいことだけど、それでもマルティナは頑張りたいって思ってた。
集中から我に返ったとき、もう外は暗くなってた。ベンジャミンはまだ帰ってきてないけど、変なことに、いない方が心が穏やかで、いつもみたいに面倒なことにもならないし。
マジで不思議。だって、マルティナは一番ベンジャミンと一緒にいるのが好きだったはずなのに。彼と少しでも長く一緒にいられたら、それだけでめっちゃ幸せだったのに。
結果、逃げ出したくなっちゃうんだからね。これが、いわゆる相容れないってやつ?
マルティナは深呼吸して、最後の仕上げを終えた。
一方、階下では、エリザベスの機嫌が最悪だった。もうご飯の時間なのに、マルティナは降りてくる気配もない。何様?自分をボスだと思って、年長者にも敬意を払わないつもり?
エリザベスはムカついたけど、自分の威厳を保つために、意地悪なこと言ってた。「あら、やっぱり育ちが悪いとマナーもないのね。ご飯の時間なのに、食べたいのかどうかも聞きに降りてこないなんて。誰に教わったのかしら?」
レスリーは口を開きかけたけど、結局何も言わなかった。だって、ボスの家族の問題だし。
あまり詳しく話すと、後で誰かに利用されちゃうこともあるからね。
賢いレスリーは、何ができて何ができないか分かってる。余計なことはしないようにして、不用意に面倒なことを避けてた。
でも、マルティナが出てこないから、何度も階段の方を見てた。マルティナは、家に入る前に、絶対に邪魔しないでって言ってたし。
レスリーは、マルティナを不機嫌にさたら大変だって思って、近づくこともしなかった。ベンジャミンにとって、マルティナはすごく大切で、宝物みたいな存在なんだから。バカでも逆らいたくないでしょ。
だから、レスリーは辛抱強く待ち続けるしかなかった。マルティナはお腹が空いたら、きっと降りてくるだろうって。
30分くらい経って、マルティナはついに仕事を終えた。お腹が空いてグーグー鳴ってるのを感じて、マルティナは何か食べに行こうと決めた。
だって、逃げるわけにもいかないし。お腹を満たさないと、ただ辛いだけだし。
レスリーはリビングのソファーに座ってテレビを見てたんだけど、マルティナが降りてくるのが見えた。すぐに立ち上がって、マルティナに話しかけた。
「マルティナさん、やっと降りてきましたね。お腹空いてます?何か買ってきましょうか?」とレスリーは言った。
その時、エリザベスはもう食事を済ませてて、使用人たちにテーブルを片付けさせてた。食べ物はとっくに捨てられてた。
マルティナは空っぽのダイニングテーブルを見て、誰がやったのかすぐに分かった。エリザベス以外にそんなことするやつはいないでしょ。だって、マルティナのこと嫌いなんだから、もう長い間。
マルティナは食べ物に関しては特にこだわりないんだよね。前は高い料理を好んでたのは、できるだけベンジャミンの世界に合わせようとしたから。でも、今はもうどうでもいい。食べる時は、ただお腹を満たせるかどうかしか気にしない、自由奔放な感じ。
マルティナはレスリーに手を振って言った。「ううん、大丈夫。後で自分で作るから。」
みんな得意分野があるからね。レスリーは人を見るのはすごいけど、料理に関しては全然なんだよね。
マルティナは助けてほしくなくて、キッチンに行って自分で何か作ろうと決めた。
レスリーはマルティナの返事を見て、もう一度聞いた。「本当に?何か買いに行かせてもらうこともできますよ。すぐ戻ってこれるし、食事を遅らせることもないですよ。」
マルティナは振り返りもせずに断った。「ううん、本当にありがとう。」
レスリーは嬉しそうに言った。「マルティナさん、そんなこと言わないでくださいよ。恐縮です。もしボスが知ったら、僕に何か言ってくるかもしれない。」
マルティナは黙って、キッチンに行って準備を始めた。
どうやらエリザベスはわざとやったみたい。調味料を隠すように指示したみたいだし。
今、キッチンで見つけられたのは、パスタ一袋、トマト一つ、卵二つ、塩だけだった。
言葉も出ない。エリザベス、もう若くないのに、まだこんな子供みたいなことするんだ。
でも、これでも何とかなる。マルティナは簡単にパスタを作って、お腹を満たそうと思った。料理の腕はそんなに良くないけど、すぐにパスタを作った。
冷蔵庫に飲み物があったのを思い出して、それを取り出して飲もうとした。
マルティナがキッチンから戻ってくると、リビングにはもう二人いた。ベンジャミンとサイモン。この二人は本当にいつも一緒。知らない人が見たら、何か秘密があるんじゃないかって思っちゃうよね。
もちろん、マルティナはそんな風には思ってない。ただ、ベンジャミンがこんな時間に帰ってきたことにちょっと驚いただけ。ベンジャミンの姿を見て、話しかけるべきか迷った。
結局、気まずくなって、何気なくダイニングテーブルに座って、「遅かったね。ご飯食べた?」って聞いてみた。
本当は、マルティナはただ社交辞令で言っただけで、ベンジャミンがご飯食べたかどうかなんて全然気にしてなかった。でも、予想外にも、ベンジャミンは軽く頷いて、いつもの様子とは違って、マルティナの向かいに座った。
「まだだよ。午後から忙しくて、今、結構お腹空いてる」とベンジャミンは答えた。
話しながら、ベンジャミンの視線はマルティナの前のパスタに注がれてた。黙ってるけど、色んな気持ちが伝わってくるみたいだった。
ベンジャミンのいつもの声を聞いて、マルティナはゾッとして、あの質問しなきゃよかったって後悔した。どうやって会話を続ければいいか分からなくて、気まずそうに頭を下げてパスタを食べ始めた。
マルティナはレスリーがベンジャミンの耳元で何を囁いたのか分からなかったけど、周りの空気が少し冷たくなったように感じた。まるで、また空気が冷たくなったみたいに。