第114章 捨てる
ルーシーの言葉に、ローラは固まった。
「もしよかったら、お願いしたいんだけど。でも、スノーボールが私から離れないんだよね。」
ルーシーはまばたきした。
二人が出会ってからというもの、スノーボールはローラの後をずっとついてきて、全然離れようとしない。
少し考えてから、ルーシーはちょっと羨ましそうに言った。「そっか。じゃあ、一緒に散歩に連れて行こうよ。」
ローラは彼女の気持ちを察して、思わず笑顔がこぼれた。「大丈夫だよ。二人も仲良くなれば、スノーボールもルーシーのこと好きになるよ。」
「マジで?」ルーシーの目が輝いて、思わず小さくガッツポーズ。「やったー!」
二人は歩きながら話していて、木の影で月明かりが少し薄れていた。
そのせいで、ずっと後ろをついてきていた小さなブタさんが、いつの間にかいなくなっていたことに誰も気づかなかった。
……
月明かりの下、湖面にはさざ波が立っていた。
「え? 香りブタ? なんで学校にペットのブタがいるの?」
湖畔を歩いていたリリーは、突然しゃがみこんで、頭を下げて水を飲んでいる小さな香りブタをつついた。
「リリー、触っちゃダメ!汚い!」フィオナは勢いよく駆け寄り、リリーが子豚に触ろうとした手を優しく払った。
彼女は嫌そうな顔をして言った。「これ、ローラのペットなんだ。あんなに可愛くないのをペットにするなんて、信じられない!」
リリーは鼻をすすり、すぐに手を引っ込めた。
彼女は口元を手で覆い、驚いたように目を見開いた。「お姉ちゃんが飼ってるの?」
「でも、学校はペット禁止じゃなかった?!」リリーは唇を噛んで、フィオナを見た。「もし学校に見つかったら、お姉ちゃん罰せられるよ!拾って捨てちゃおうよ。」
フィオナは、リリーがそう言うとすぐに子豚を抱きしめようとしているのを見て、心臓がドキッとして、思わずリリーの手を強く掴んだ。「ダメ!」
「え?」リリーは怪訝そうに彼女を見た。
フィオナはコートの裾を握りしめて、少し迷っていた。「だって、ペットじゃん。ただ捨てたら、餓死しちゃうでしょ? それは可哀想だよ。」
「でも、学校はペット禁止だよ!」リリーはイライラしている。
フィオナはまだ迷っていた。「だって、命だし……」
しかし、リリーはそれ以上何も言わなかった。彼女はフィオナの手を振り払い、足早に湖へ向かい、子豚を湖に投げ込んだ。
――「プハーッ。」
フィオナは少しの間、恐怖に満ちた表情でリリーを見つめていた。まるで他人を見るように。「リリー、どうしてそんなことするの?」
リリーは手を叩きながら、フィオナの肩を抱き、あっさりと笑った。「ただのブタだよ。別にいいじゃん。行こう。」
そう言って、リリーは踵を返した。
彼女は突然、目の前に現れた人物に意表を突かれ、反応する間もなく、「アァァァァァァァーッ」という悲痛な叫び声が夜の静寂を切り裂いた。
「リリー!」フィオナは驚いて、水の中でもがき苦しんでいるリリーを見ていた。「大丈夫? 早く上がって!あなた……」
最後まで言い終えると、彼女は振り返り、隣にいるローラを激しく睨んだ。「あんた、最低よ!リリーを突き落としたのはあんたでしょ!」
「ええ、私が突き落としたのよ。」