第162章 冗談
マーカスは「5日間」がユウファ社からの期限だって分かってる。それで、「俺、そこまで飛んでいこうか…」って提案したんだ。
「いや、まだ遅いよ」ローラの言葉。もう決めてたんだって。「私が、お店の看板商品、もう一個彫る」
自分で? マーカスはびっくりして、思わず質問しそうになったけど、何かを思い出してニヤリ。「ふーん」って答えた。
ローラのことだし、万能じゃん?別に聞くことなんてないし。
...
午後、ランバート家の古い家。
執事が両手で宅配便を持って、おじいちゃんに丁寧に渡した。「おじい様、この宅配便の差出人、見てください」
差出人なんて別にどうでもいいだろ? おじいちゃんはそう思ったけど、言われた通りにチラッと見た。
一瞬で、おじいちゃんはビビった。椅子から飛び起きそうになって、震えながら長い間見てた。そして、やっと不安そうな声を出した。「ロ、ローレン家…?」
「はい、そうです」執事の声も震えてて、手に持ってる宅配便がものすごく重く感じた。「世界一の大富豪、ローレンバンクと、ローレン家ですよ」
おじいちゃんは、しばらく現実を受け止められなかった。まさか、ランバート家がローレン家と関係を持つことになるなんて。
老眼を細めて、宅配便に書かれた情報をじっくり見た。送られてきたのは、どうやら氷の翡翠らしい。
ローラが出かける前に「おじいちゃん、今日、宅配便が届くから、受け取っててね」って言ってたのを思い出した。なるほど、そういうことか。
やっぱり、うちのラッキーガールのおかげだ。
ローラは彫刻に必要な図面と道具を全部用意して、大きな荷物を持って古い家に戻ってきた。
「おーい、こっち来て、こっち来て、お前の宅配便だぞ」おじいちゃんは、どれだけ待ってたのか、ローラを見るなり、宅配便を開けるように催促した。
ローラは荷物をテーブルに置いて、宅配便を受け取ると、おじいちゃんの質問に答えながら、ナイフでゴムの布を切った。
「せいせい、ローレン家のこと知ってたのか?どうして知ったんだ?いつから知ってたんだ?おじいちゃんは全然知らなかったぞ?」
ローラは、記憶の中をずいぶん探したけど、「ローレン家」に関する記憶は見つけられなかった。
首を振った。「知らないよ。おじいちゃん、どうしたの?」
おじいちゃんは、荷物の中から出てきた翡翠を指さした。「これ、どこから来たんだ?ローレン家から送られてきたんじゃないのか?」
ローラは、また首を振った。「人から送られたんじゃないよ。自分で買ったの」
おじいちゃんは、ほっとした。「自分で買ったのか、それは良かった」
金持ちの家に近づくのは、すごくいいことだって考える人もいるけど、おじいちゃんはそうは思わない。
特におじいちゃんの孫娘であるせいせいには、前にもいろいろ苦労させてきたから、これからはシンプルに生きて、上の人たちを刺激しないでほしい。
心の中の大きな石が落ちたような気分で、おじいちゃんは地面に置かれた、すごく大きな翡翠を見て、疑問がわいてきた。
「せいせい、なんでこんなに大きな翡翠を買ったんだ?ブレスレットとかネックレスとか、欲しいものがあったら、おじいちゃんに言ってくれ。エメラルド広場に直接行って、お前のために買ってやるから、こんな大きな原石を買う必要はないんだぞ」
「いいの」ローラは、すべての包装を剥がして、翡翠をしっかりと抱きしめた。「お店の看板商品を今から探すのはもう遅い。この数日で、もう一個彫る」
おじいちゃんは、ローラが冗談を言ってるだけだと思った。「冗談はやめてくれよ、せいせい。お店の看板商品を彫るのに、何人もの従業員が3ヶ月もかかったんだぞ…」