第214章 関心事
ローラはピアノ台の携帯電話を取った。誰からかと思ったら、マーカスからメッセージが来てた。
「Weiboどうした?1日見てないんだけど。金(かね)の亡者(もうじゃ)か?」明らかにからかってる。
ローラは思わずニヤッとした。「だって、キンバリーにいいようにされたくないじゃん」
マーカスは秒速で返信してきた。「ま、ローラらしい、庇(かば)いまくりってとこか」
ローラは適当に返事して、マーカスに何か用事(ようじ)があったのか聞こうとしたら、先にピアノの楽譜が送られてきた。
「これ、中世(ちゅうせい)からずーっと行方不明(ゆくえふめい)になってたクラビコードの楽譜。コンサートで、もし弾けなくても、出すだけで誰も文句(もんく)言えないよ」
ローラは「ずーっと行方不明」って言葉に目が釘付け(くぎづけ)になった。
ずーっと行方不明…、マーカスがわざわざ探し出したんだ。
誰のためかなんて、言うまでもないよね…
マーカスはローラの「ありがとう」を受け取った。苦笑(にがわらい)して、思わずつぶやく。「なんだよ、関係(かんけい)あるのかってくらい、お礼(れい)言われたし」
携帯(けいたい)をしまって、チン(秦)の廊下(ろうか)を通りかかった時、背後(はいご)からジメッとした視線(しせん)を感じた。
振り返ると、廊下(ろうか)の先にチン・イーチェン(秦・亦辰)が立っていて、重い顔でマーカスを見ていた。マーカスと目が合うと、急にヘンな笑みを浮かべた。
「ビッチ、生(い)かしておくわけにはいかない」って、口パクした。
マーカスは分かったけど、気にも留め(とめ)なかった。何事(なにごと)もなかったかのように視線(しせん)を戻し、踵(かかと)を返して去っていった。
マーカスが去った後(あと)、チン・イーチェン(秦・亦辰)は消え去(さ)る後ろ姿(うしろすがた)を睨(にら)みつけ、歪(ゆが)んだ表情(ひょうじょう)で柱(はしら)を叩(たた)き、歯噛(はが)りして言った。「誓(ちか)う、お前(まえ)が俺(おれ)にしたこと、全部(ぜんぶ)後悔(こうかい)させてやる!まず、これだな!」
...
「オ 'レーン!」 怒(おこ)りのあまり、グバボの顔が少し赤くなった。「なんで僕(ぼく)の意見(いけん)も聞かずに、勝手(かって)にあの何とかってコンサートに行く約束(やくそく)しちゃったんだよ!」
「グバボ、怒(おこ)らないで」 オ 'レーンは困(こま)ったように目を逸(そ)らし、少し気まずそうに鼻を触った。「だって、あの絵描(えか)き師(し)様(さま)が行くって言うから…」
グバボはまだ少し怒っていて、だってヨーロッパで有名(ゆうめい)な、才能(さいのう)あるピアニストなんだから、彼の行動(こうどう)はいつも注目(ちゅうもく)されてる。もし外(そと)の人が、キンバリーのコンサートに出席(しゅっせき)したって知ったら、キンバリーの実力(じつりょく)を認(みと)めたって思われるじゃん?
それに、シュラウズ・キンバリーのことだって知らないのに!
でも、オ 'レーンの後半(こうはん)の言葉を聞いた瞬間(しゅんかん)、グバボの怒りは消え、好奇心(こうきしん)に変わった。「お前(まえ)が言ってた絵描(えか)き師(し)様(さま)って、じいちゃんに婆(ばあ)ちゃんに頼(たの)んで崇拝(すうはい)してもらってる将来のマスターのこと?」
「うん」 そんな恥(はじ)ずかしい修飾語(しゅうしょくご)がいっぱい付いてるのに、オ 'レーンは全然(ぜんぜん)恥ずかしくなさそう。むしろ、誇(ほこ)らしげに立っている。「僕(ぼく)の将来のマスターだよ!」
「へえ、ま、いっか…」
グバボは少し興味(きょうみ)を持ったけど、表面(ひょうめん)はすごく嫌(いや)そう。「いいよ、お前(まえ)のマスターの顔(かお)を立てて、時間(じかん)見つけて行くよ」
あっという間に、コンサート当日(とうじつ)になった。
「おじいちゃん、いや、マジでいいから…」
おじいちゃんリン(林爺)に止められ、ローラは珍(めずら)しく照(て)れくさそうに手を振った。
「何言ってんだよ!」 おじいちゃんリン(林爺)はヒゲをフンフンして、無理やり彼女(かのじょ)を更衣室(こういしつ)に連れて行った。「たとえ遊び(あそび)だったとしても、うちの孫(まご)が誰(だれ)にも負(ま)けないくらい綺麗(きれい)だって、みんなに知(し)ってもらいたいんだよ!」
ローラはしょうがなく、おじいちゃんリン(林爺)の言う通り、賢(かしこ)くメイクの鏡(かがみ)の前(まえ)に座った。