第34章 教えてあげよう
隣の席のコが愛想笑いして、ラウラに「座って、座って」って言った。
ラウラはすぐに、さっき話しかけてきたコは、すごいバックグラウンドとか持ってないのかもって思った。珍しいから、ちょっと興味もあった。自分にフレンドリーにしてくる見知らぬ人なんて、そうそういないし。断らずに、ルーシーの隣に座った。
「いいわよ」ルーシーはラウラの肩に手を置いて、人形を扱うみたいにちょっと乱れた襟を直した。それから満足そうな笑顔になって、「今日から、あなたが私の隣の席!」
周りから息をのむ音が聞こえた。それから、コソコソ話してる声。
「マジかよ、ルーシーが隣の席に?」
「まじかよ、なんであの子がルーシーに気に入られてんだよ」
「入学初日にルーシーに懐かれてるの、すげー」
ルーシー?このコの名前?なんか聞いたことあるような…
ラウラが思い出す前に、ルーシーが笑顔で近づいてきた。「私の名前はルーシー。ニューヨークで2番目にすごい、ジェイムズ家の子なの。一緒に遊ばない?」
ラウラはすぐに、前の隣の席のコたちが、なんでルーシーにビビって愛想笑いしてたのか、そして、ルーシーがさっき言ってたこと、クラスで初めて男に騙されなかったコってのが分かった。だって、ニューヨークじゃ、ジェイムズ家はブラウン家に次ぐくらいすごいんだもん。ルーシーはジェイムズ家のたった一人の娘で、家族全員からめちゃくちゃ甘やかされて育ってる。逆らったら、ジェイムズ家全員を敵に回すようなもん。
ルーシーには、ラウラが自分のバックグラウンドに圧倒されてボーっとしてるように見えたらしい。でも、ルーシーは別に驚いてなかった。笑って、「ボーっとしてないで。ねえねえ、なんでそんなにすごい動きができるの?足の運びとか。絶対、武術やってるでしょ?正直に言いなさい!」そう言って、胸を張って、無意識のうちに眉間にちょっとした自慢げな顔をした。
「言っとくけど、私もやってるんだからね!武術の腕前は一番なんだから!」
ラウラは、ルーシーがあまりにも生き生きとした表情をしているのを見て、笑わずにはいられなかった。ジェイムズ家のたった一人の娘は、学校のボスキャラ?って聞いたけど、今見ると、ただのちょっと大きい心を持った女の子じゃん!
でも、ルーシーはラウラの笑いを、自分の言ったことをバカにしてるんだと勘違いした。急に笑顔が消えて、ムッとした顔になって、「なによ?私のこと信じてないの?あなたまで…」
言い終わらないうちに、ラウラは笑うのをやめて、真剣な顔で言った。「教えてほしい?教えてあげるよ」
「え?マジ?」ルーシーはまだ状況が飲み込めてないみたいで、目を大きく見開いてた。
「うわああああ!ほんと?」ルーシーはすぐにラウラを抱きしめて、興奮して小声で「教えてくれるの?私の家は、女の子は力使うの良くないって言ってて、習わせてくれないんだ…」
ラウラは笑って、「それは偏見だよ。気にしなくていいよ。私が教えるって言ったんだから、あなたが覚えるまで教えてあげる」
「やったー!」ルーシーはすごく嬉しそう。「もう友達だね!これから、あなたが武術教えてくれて、私が学校で面倒見てあげる!」
そう言って、机をドーン!と叩いた。