第103章
いなくなった。
レヴィがいなくなったんだ。
いや、比喩とかじゃないよ。マジでいなくなったんだって。
ロープは切られてて、彼が座ってた場所はもう冷たかった。私が確認に行った時には、とっくにいなかった。
彼の持ち物とか、確認しとけばよかったな。はあ。だから私はマフィアとか刑事には向かないんだよ。チョーお人好しだし。
もし、また彼を捕まえることがあったら、マジでただじゃ済まないからな。信じてたものが粉々になるのを、何度も何度も繰り返すのはもう嫌なんだ。こんなこと、もう耐えられないよ。辛すぎる。人を信じて、結局、ちっちゃなクソ野郎だってわかるなんて。
彼がいなくなってるのを見て、キャビンに戻った。ショックで感覚が麻痺して、一瞬、全部現実感がなかった。麻痺を解こうともしなかった。現実に向き合いたくなかったし、彼がどこに行ったのか、何をしてるのかも考えたくなかったから。
その時に私が心配しなきゃいけないのは、次のファイトのスケジュールをどうやって手に入れるかってことだけだった。次の試合はいつかわかってるけど、レヴィが次の試合について教えてくれるはずだったんだ。ってことは、誰かが彼に連絡して、いつ試合があるか教えてたんだろうな。
だから、誰か内部の人と連絡を取らなきゃ。
試合のことを考えると、なんでレヴィは私が困ってた時に、この試合を抜け出す方法として勧めてきたんだろうって思っちゃう。この試合にも何か裏があるに違いない。足に怪我をしたやつとその兄弟に何があったのかも、何か仕組まれてたことかもしれない。それとも、ただの偶然かな。
でも、アダムにぶつかって記憶喪失にしたやつが、私が怪我させたやつの兄弟で、ドムが私を傷つけるようにアダムを洗脳しただけ、ってのは、ちょっと出来すぎじゃない?
ドムは隙を見て、そうしたんだろうな、今のところわかるのはそれだけ。あとは、全部クエスチョンマークと可能性。
彼らが計画してたのかどうかはわからないけど、私が試合に復帰することには成功したんだよね。
前の事件の後、奴らは私がまたあのくだらない試合にケツを突っ込むことに賭けてたかもしれない。クエンティンのギャングが試合を本当に支配してないことを願うよ。だって、そうなったら、マジで私にとって良いことなんてないから。
試合から生きて出れるとは思えない。
その考えが、レヴィについての別の疑問に繋がった。彼はいつもあんなに冷たかったんだろうか?私と色々あったのに、本当に私のことなんてどうでもよかったのかな?この試合に出るように勧めた時、彼は言葉に詰まったのかな?私の血が流れるかもしれない試合に私を参加させるってわかってて、彼は苦しかったのかな?彼は私を本当に大切にしてくれたのかな?
その答えを知りたいのか、自分でもわからない。ただ、彼はもう友達じゃないってことと、友達、もしかしたら家族だって言ってた人たちに裏切られることに慣れなきゃいけないってことだけはわかった。だって、私が墓に入るまで、これは終わらない気がするから。ただ、家族を突き放しちゃいけないってことだけはわかってる。でも、あまり深く関わらないようにしなきゃ。
辛いけど、このクソみたいな状況を、この人生の###章が終わるまで生き抜かなきゃいけない。そう自分に約束したんだ。このクソみたいな状況から抜け出して、普通の、まともな人間として生きていくんだって。家族を作って、ちゃんとした仕事に就いて、ストリートファイトはやらない。
絶対に乗り越えてやる。クソみたいな奴らが私に降りかかってこないように。
そんなことを考えてる間、私は無意識にキッチンのカウンターの裏の椅子に座ってた。ファンさんがキッチンのドアから入ってきて、私を見たけど、何も聞いてこなかった。彼は静かにキッチンを動き回って、必要なものを持って、私にスペースを与えるために出て行った。
でも、それは私が思ったほど長くは続かなかったけどね。