第166章
「あいつのママに会ったんだ。おばあちゃんなんだけど、ちっちゃい天使ちゃんたちを3人も養子にしたんだよ。すっごくいい人でさ、その3人の子供たちのために頑張ってて。あつと、あいつの兄貴は、それを手伝おうとしてるんだ」
今度は、アダムは黙ってて、あたしの話を最後まで聞かせてくれた。
「あいつら、ママを助けるためにあの勝負に参加したんだよ。あたし、その気持ち、わかるんだよね。好きな人のために、必死になって参加するって。あたし、あの理由を知った時、あいつの怒りがわかったんだ。だって、あたしは別にわざとじゃないけど、あいつの兄貴の人生を台無しにしちゃったみたいなもんだし。あいつら、ただ面白半分でやってるわけじゃないんだよ、アダム。好きな人のために戦ってるんだよ。あたしみたいに」
あたしは、全部話終わったら、もう疲れ果てちゃってさ。とにかく寝たかったんだ。
「あんな家族を、あんな目に遭わせたのに、あたしだけ逃げるなんてできないよ。あいつが、全部無駄になるなんて、絶対に嫌だ。あたしは、あいつらを助けなきゃ」あたしはアダムの目を真っ直ぐ見て、あたしの心の平安のために、これはやらなきゃいけないことだってことをわかってほしかった。
アダムは手を伸ばして、あたしの手を握った。繋がれた手を見て、こんなに安心できるものかって感心してから、またアダムの目を見た。彼は優しくあたしの手を握った。
「まさか、お前が俺のママを殺したなんて、信じてたなんて、信じられないよ」アダムは、恥ずかしそうに目を伏せてから、またあたしの目を見て、優しく言った。「お前ってやつは、ほんとすごいな、カサンドラ・ジョンソン」
口角が上がって、笑顔になりそうだった。涙が溢れてくるのがわかった。
神様が作ったこの素晴らしい世界で、あたしを応援してくれる人が、少なくとも一人いてくれて、あたしは本当に感謝してた。コールさんの家族を助けたいって思ってるあたしは、頭がおかしくなってるわけじゃないって言ってくれて。
「ありがとう」あたしはアダムに小さく囁くと、彼は一度頷いて、あたしの手を離した。
あたしは視線を夜空に移して、夜の空気を吸い込んだ。
空から目をそらすと、アダムはまだあたしを見ていた。驚きと感動が、まだ彼の目の中にあった。
あたしの心は少し膨らんで、もしかしたら、あたしの知ってるアダムが、どこかにいて、いつかまた会えるかもしれないって思えたんだ。
その夜、あたしは、戦いでできた痛々しいアザだらけだったけど、できるだけ安らかに眠った。心はできるだけ穏やかだった。
あたしは何をしたいのか、何が必要なのか、はっきりと考えられたし、アダムにあたしを嫌われたり、またひどいことを思われたりする心配もなかった。
あたしはこの勝負を勝ち抜いて、愛する人たち、大切に思ってる人たちのために勝ち取るんだ。だって、それが人生の全てなんだから。
人生っていうのは、ただ戦い抜くしかないんだよ。いつでも選択肢はあるんだ。
諦めて死ぬこともできるし、
戦い続けることもできる。そして、あたしは後者を選ぶ。だって、あたしにとって?
生きるってことは、戦うことなんだから。