第49章
あの人の視線、マジで顔に穴が開くレベル。緊張してゴクリ。こりゃ、ロクなことにならないぞ。
「で、何について知りたいの?」
「あのさ、三日前の夜、お前らのこと知ってるっぽい奴らがいたけど、お前も奴らのこと知ってるみたいだったじゃん」
一瞥されただけで、まだ言いたくないこと、バレてるってわかった。言いたくなかったんだ。あの人に話したら、きっと私が戦うのも、お金を受け取るのも、やめさせられるだろうから。視線を逸らしたかったけど、じっと見つめ返した。あの人は私のこと全部お見通しみたいで、一瞬、すごく脆い自分を感じた。
感情を消した顔を作った。怪しまれるほど感情がないわけでもなく、隠してるってバレるほど険しい顔でもなく。
一番嫌なのは、彼がお金を受け取るのをやめて、カーラの魂が体から抜け出して、彼女の目から生気が消えることだった。
そんなこと考えてるヒマもなく、パニックになる前に、アダムに意識を集中して、あの人の質問に答えるためのまともな文章を作ろうとした。
「二人知ってるよ。短くてハゲ散らかした、クソみたいなジジイは、パーティーの後でペネロペと私を追い詰めてきた奴で、マックで挨拶してきた奴は、一回戦った相手だ」 そう説明した。声は低かったけど、トーンは絶対にブレさせなかった。
別に嘘をついてるわけじゃない。戦ったのは事実だし。全部をねじ曲げてるわけじゃなくて、ちょっとだけカットしただけ。最終的にはバレて、面倒なことになるだろうけど、カーラの薬を止めさせるわけにはいかないんだ。
ピオとキャリは、ママが成長を見守って、この世の正しさとかを教えてくれる必要があった。プレストンは、彼を落ち着かせられるような、強い道徳心を持った女性が現れるまで、誰かがちゃんと見てなきゃいけない。
そして最後に、目の前にいるこの人。アダムは認めないかもしれないけど、誰だって、お母さんのこと見てる時の彼の目には愛が溢れてるってわかる。たとえ、彼がお金を受け取るのをやめて、薬代で苦しんでることがわかったとしても、それでもお母さんのために戦うだろうってわかってた。
彼女に、彼と兄弟たちを置いていかせるようなことはしない。彼はカーラを愛してる。だから、最後の息をするまで戦うだろうって思ったら、自然と笑みがこぼれた。
「何?」
首を横に振った。まだニヤニヤしたままで、アダムは私に、頭がもう一個生えたみたいな顔をしてる。
「まあ、とりあえず、お前のママに会いに行くとか、そういう話じゃなかったっけ?」
彼は深く考え込んだ後、ようやく答えた。「それは、状況によるかな」
私は顔をしかめた。「何が?」信じられないって感じで聞いた。病室で寝てるお母さんに会いに行くことより大事なことなんてあるはずないのに。
「大丈夫?体調悪い?」
目を見開いて、口がポカーンって開いた。この人、頭おかしいんじゃないの?マジで冗談だろ。
でも、好きなんだよね、あの人のこと。
恋、っていうのか、憧れ、っていうのか、まだ「好き」って確定はしてないんだ。いや、もちろん、あの人のことはすごく気にかけてるし、大好きだし。だから言いたくないわけじゃなくて、複雑なんだ。
今まで恋なんてしたことないし、片思いとか、愛とか、そういうの全然わかんないんだもん。私にとってはミステリーなんだよね。
認めない、認めない、認めないー
あーあ、真面目な話は終わり。
ソファーから飛び降りて、足の上で飛び跳ねて、今までで一番元気だってことをアピールしてみた。
「あの、お粥だか、ケーキだか、とにかくあのわけわかんないもんのおかげか知らないけど、マジで過去最高に元気。さあ、行こう!」 そう言って、アダムの手を引っ張って、バイクに向かって引っ張り出した。
アダムはずっと笑いっぱなしで、出かける時にスマホと財布と鍵を拾った。
「一つ、あれは『カックイ』。二つ、マジで大丈夫?」 遊び混じりの口調の中に、また心配そうなトーンが混ざってる。
頷いて、カーラに会わせるために、アダムをドアから引っ張り出した。「絶対大丈夫」