第196章
レストランに入って、受付の人に「ジョンソンで予約してます」って言ったんだ。
ウェーターが案内してくれたのは、襟付きのシャツを着た男の人が携帯で話してるテーブル。
俺らに気づいたみたいで、手を振って、携帯に何か話してから切って、しまって、お父さんお母さんにニコニコしてる。
「あれー、ドタキャンされたかと思ったよ!」って冗談言って、席から立って、お父さんお母さんにハグしてた。
お父さんはちょっと体をずらして、ケイシーと俺がよく見えるようにした。
「こっちは長男のブライアント」って俺が笑って自己紹介したら、お父さんも紹介してくれた。前に出て、握手を求めたんだ。
相手は俺の手を掴んで、力強く握手してくれた。「お、君、握力すごいね」って感心したみたい。
俺はもう一回笑って、ケイシーに握手させるために一歩下がった。
「こっちはカサンドラ。ブライアントよりほんのちょっと年下」
その人はケイシーに優しく笑って、握手してた。
「二人とも、こちらリーヴス将軍だ」って、簡単な紹介だった。助かる。階級とか、どこに所属してるのかとか、詳しく説明されても、あんまりわかんないからね。
お父さんも覚えてないと思う。うちの家族は、マジでビジネス中心だから。人生、ほとんどビジネスの世界で回ってるし、それ以外のこと、あんまり知らないんだよね。軍とか、そういうの。
でも、軍のこと、一つだけ知ってるのは、将軍ってのは、すごい階級だってこと。
18歳にもなって、変な話だって思うかもしれないけど、俺はいつも将軍って、おじいちゃんみたいな怖いイメージだったんだ。お父さんお母さんくらいじゃなくて、もっと、おじいちゃんおばあちゃんくらい。
だって、将軍になるには、結構時間かかるでしょ。何かすごいことした人しか、将軍にはなれないんじゃないかなって。
別に将軍は怖い!ってトラウマがあるわけじゃないんだよ。ただ、その威圧感とか、見た目からくるものとか、そういうのが仕事内容に入ってるもんだと思ってただけ。だって、そうじゃん?
俺の中では、そうなんだよ。
声に出して言ったら、アホっぽいけど。
でも、リーヴス将軍は、全然怖くなかった。温かいヘーゼルの瞳は、笑いジワがあって、幸せそうだったんだ。
髪の毛は坊主だけど、それ以外は全然「軍人っぽい」感じじゃないんだよね。制服着てないからかもしれないけど、将軍だって言われなかったら、絶対気づかない。
まあ、確かに体格はいいし、めっちゃ鍛えてるけど。そんなの、筋トレ中毒の人なら誰でもそうじゃん。
見た目で人判断しちゃダメだよね。何が起こるかわからないから。
マジで、この人にケンカ売ろうとするやつには、同情するわ。
だから、いつも人に優しくしないとダメなんだよ、みんな。変なことしないように。変なことしたら、相手がすごいエリート軍人で、おまえが「やべっ」って言う前に、ボコボコにされるかもしれないんだからな。
自己紹介が終わって、俺らは席に着いた。大人は片側に座って、ケイシーと俺は向かい側に座った。
ウェーターが注文を取りに来て、キッチンに伝えに行った後、将軍はケイシーと俺の方を見た。
「で、君たちはいくつなんだ?」
俺が二人の代わりに答えた。「もうすぐ18歳で、ケイシーは16歳」
「18か」って将軍は、俺を品定めするように唸ってから、ニヤリとした。「大人になったんだから、何か悪いことしてないだろうな?」
俺は間髪入れずに笑って首を横に振った。「はい、将軍」って、ちゃんと答えた。嘘でね。
一年間、ギャングにいたことが、俺にどんな影響を与えたかって言ったら、たぶん、カバテクだと思う。一年以上も潜入捜査して、ギャングの中にいる間、自分の足跡を隠す習慣がついて、そのせいで、俺は自分の見せ方とか、嘘をつくのがめっちゃ上手くなったんだ。
簡単に言うと、プロだよ。
別に自慢できることじゃないけど、今まで、それでうまくいってるんだ。
もう、自分を隠す必要もなくなった。どんなことでも、その場で嘘をつけるし、言葉が出てくるのにためらったりとか、考える必要もなくなった。もう、マジで自然に出てくるから、俺は、そろそろ病的な嘘つきになってるんじゃないかって、ちょっと心配になってるくらい。
でも、家族には、ちょっと抑え気味にしてるんだ。嘘つかなくてもいいなら、つきたくないし、ありがたいことに、うちの家族はすぐに気を取られるから、俺の都合がいいときは、そっちに気をそらすのは簡単なんだ。
俺が、この嘘つきのことに関しては、まあプロかなって言ったのは、自慢してるわけじゃないんだよ。それを証明するために、今から言うけど、将軍は、俺が平和で、トラブルのない生活を送ってるって言うのを、マジで信じてるみたいなんだ。
俺の嘘を、全然努力もせずに将軍に信じさせられるってことは、俺の発言をさらに正当化してるだけなんだよ。
「ブライアントは、マジでいい子だよ。いつも俺らをがっかりさせないし。成績もいつもトップだし、結構人気あるんだって。女の子だけじゃなくて」って、お父さんは自慢げ。胸を張ってる。
お母さんはお父さんの腕を叩いて、ケイシーの方を見た。「あなたの娘はどうなの?」
ケイシーは、テーブルの真ん中に置いてあったパンを夢中で食べてて、俺の隣で何にも気づいてない感じだった。
お父さんは笑って、その様子を見て首を横に振った。「あいつは、本当に変わってるよな。いつも食べてるし…」って、途中で言葉を切った。ケイシーは半分食べたパンを片手に持って、もう片方の手でパンを掴もうとしてたんだ。
俺はケイシーの手を軽く叩いたら、ケイシーはびっくりして、手を引っ込めて、胸にあててた。
俺を見て、ちょっと不機嫌そうに、叩かれた手を擦ってる。
俺は、めんどくさそうに目を回した。「そんなに強く叩いてないだろ」
ケイシーは俺に舌を出した。「叩いたもん!」
「本当にいつも子供だね」って、お父さんはため息をついた。
幸いなことに、将軍はそれを面白いと思って、笑い出したんだ。
将軍の爆笑にケイシーは気づいて、ようやく我に返ったみたいで、顔が真っ赤になってた。
頭を下げて、俺にしか聞こえない声でブツブツ言ってた。「もっと早く言ってくれればよかったのに」
俺は、また目を回した。「おまえがもっとちゃんとすればいいんだよ」って言い返した。
ケイシーは俺を睨んでて、俺は、彼女のレーザービームに対して、肩をすくめた。
将軍は、ようやく笑い止んで、すぐに料理が来た。
大人は、夕食をしながら近況報告を始めて、ケイシーと俺は静かに座って、ご飯を食べることに集中した。でも、会話を聞いてたら、いくつか分かったことがあるんだ。
みんな、高校の同級生で、連絡が途絶えてたけど、最近、共通の友達を通じて再会したんだって。
お父さんとお母さんが話してる感じからすると、昔はめっちゃ仲良かったんだろうな。
お母さんとお父さんが、仕事仲間以外の人とこんなに楽しそうに話してるの、見たことないんだもん。
家族みんなで会う時間を使って、この人に会うってことは、友情がすごいってことだよね。うちの家族は、俺らとケイシーのためだけの時間ってのが重要で、お父さんお母さんは、友達とか同僚とは結構時間過ごしてるから、ケイシーと俺のためには、家族の時間を多く作ってるんだよね。家族の時間は、ケイシーと俺への一種の埋め合わせみたいなもんなんだ。
この人が、お父さんとお母さんに、俺らの「家族だけ」の時間の一部を削らせるくらいだから、マジで特別な人なんだろうね。高校時代は、めちゃくちゃ仲良かったに違いない。
「元気そうでよかったよ」って、お父さんがリーヴス将軍の背中を叩いた。
「ああ、まさか俺が、軍隊に入って、将軍になるなんて、誰が思っただろうな?」って、リーヴス将軍は首を振って、飲み物を一口飲んだ。
お母さんは笑った。「そうよね。昔と全然違うことしてるんだもんね」
お父さんはニヤリ。「おまえは、規律とか、そういうのが全然なかったもんな」って首を振った。「なんで、軍隊に入ろうと思ったんだ?ある日突然、ケツを叩かれるのが必要だって思って、軍に入隊する決心でもしたのか?」
リーヴス将軍は笑って、首を振った。「実は、俺のケツを叩く必要を感じたのは、父さんの方だったんだ。父さんが俺を軍の学校に入れたんだけど、そこで規律を守らないから、めっちゃ怒られて…」って、お母さんの方を指して言った。「その後、規律について色々学んだんだ」
お母さんは、今まで聞いたこともないくらい下品な鼻で笑いをした。「そうね。軍で将軍になるには、ある程度の規律が必要よね」
リーヴス将軍は笑った。「相変わらず皮肉屋だね」って、隣に座ってるお父さんの方を見て、お母さんに頷いた。「どうやって耐えてるんだ?」
「すごく我慢して…」って、お父さんが言い始めたところで、お母さんがお父さんの背中を思いっきり叩いた。お父さんは目を閉じて、まるで、それが起こるのを予測してたかのように頷いた。「だって、我慢しないとそうなるからな」
リーヴス将軍は、体を前に屈めて、また大笑いし始めた。
俺は、テーブルの周りを見て、誰かの迷惑になってないか願った。だって、一つだけ確かなのは、今の俺らは、この部屋で一番うるさいグループだってことなんだから。
リーヴス将軍は、ようやく落ち着いて、深呼吸をして、笑いすぎで顔が赤くなってて、笑いすぎて涙を拭わなきゃいけなかったんだ。
俺らは、デザートを食べながら夕食を続けて、お父さんお母さんが昔からの友達と、もっと話せる時間を作った。俺はケイシーとイタズラしてて、デザートを横取りしようとして、スプーン戦争してたんだ。俺のは、二口で食べ終わっちゃったから。
そしたら、ポケットでスマホが震え始めた。
取り出して、発信者番号を見た。スマホをチェックしてる間、ケイシーが俺のデザートを盗み食いしようと、顔を突っ込んでたのが見えた。
お父さんお母さんはまだ将軍と話してたから、俺は、お母さんの肩をポンポンって叩いて、お父さんが話してる時に話しかけた。
「ちょっと電話してくる。すぐ戻る」って、お母さんに耳打ちしたら、お母さんは頷いて、俺の肩に手を置いてた。
外に出て、ドムからの電話に出た。
「どうした?」って俺が聞いたら
「問題だ」ってやつは言った。俺はマジで集中した。
「俺の妄想かもしれないけど、あいつら、俺らのこと嗅ぎまわってる気がするんだ。尾行されてるかもしれない。気をつけろよ」
俺は眉をひそめた。今?突然?何か、変なことでもしちゃったかな?一年もこそこそ証拠集めしてて、捕まらずに済んでたのに、いざ、警察に送る証拠が十分だって思った時に、嗅ぎまわるとか、何?俺は、他のみんながどう思うか知らないけど、俺は、マジで怪しいと思うんだ。
「わかった。気をつけて」って言って、電話を切って、中に入るために振り返った。
テーブルに戻る途中、顔が自然とリラックスして、不安な気持ちは全部消えた。席に着いて、みんなに、何にも問題ないよって顔で笑ってみせたんだ。
ドムの言葉が頭の中でぐるぐる回ってて、夕食の間中、集中してた。まだ、何言ってるのか、理解しようとしてたんだ。全然納得できない。タイミングが良すぎるんだよ。俺らを盗聴してたりして?
ありえないことじゃない。
もっと気をつけないとな。
夕食が終わって、将軍を車まで送った。
「ごちそうさま、ジョンソン。次は俺がご馳走するよ」って言って、お父さんの背中を叩いてから、お母さんにハグした。
「リーヴス、会えてよかった。今度、家に遊びに来て。料理を作るわ」って、お母さんは言った。
「それ、マジでいいね」って、リーヴス将軍は笑って、ケイシーと俺の方を見た。
「二人にも会えてよかったよ。君たちは、お父さんとお母さんが、君たちくらいの年齢の時と、そっくりだね。ちょっとノスタルジーを感じるよ」って、リーヴス将軍は笑った。
「あ、それと、忘れてた」って言って、後ろのポケットから財布を取り出して、ケイシーと俺に近づいた。
「これ、名刺だ。俺の個人番号だよ。もちろん、お父さんお母さんも持ってるけど、何かあったら、リーヴスおじさんに電話してね、二人とも」ってウィンクした。「でも、マジでトラブルに巻き込まれないようにね」って、ちょっと真面目な口調で言ったんだ。
ケイシーと俺は笑って、お礼を言った。俺は、名刺をちょっと見てから、自分の財布にしまった。
「本当に楽しかったね。もっと頻繁に集まろう」ってお父さんは笑って、同意するように頷いた。「ジョンソン、疎遠になってた時間が長すぎるよ」
「じゃあ、またね、二人とも!」って言って、車に乗った。
俺らは手を振って見送ってから、車に戻った。
お母さんは、昔からの友達に会えてどれだけよかったかって、興奮してて、お父さんも頷いて、ずっと嬉しそうに笑ってた。誰が見ても、嬉しそうだった。
一方、俺は、何を見落としてるのか考えてて、二人の会話に全然集中できなかったんだ。
何か、重要なことを見逃してるに違いないって思ってたし、家に帰ってベッドに入っても、ずっと考えてて、色んな角度から見て、何を見落としてるのか、考えてた。もう、考えられなくなるまで、一晩中考えて、ようやく眠りについたんだ。